大切なお知らせ〜教科書の出版決定〜

本日は皆様に大切なお知らせがあります。

山本絵美を筆頭に、上野淳子、米良好恵3名で共同執筆した日本語教科書『おひさま』が、この度、世界で出版されることが決定いたしました。

マルチリンガルの子ども達を対象にした、世界初の日本語教科書です。海外在住の日本人のお子様にはもちろん、国内外で外国語として日本語を学ぶお子様、帰国子女用の日本語プログラム、イマージョンプログラムなどで幅広くお使いいただけます。

出版元は、言語学・日本語学関連書籍や教科書でお馴染みの「くろしお出版」です。

最新の言語学の研究成果、CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)、ACTFL–OPI(全米外国語教育協会が開発した会話試験)の考え方を取り入れ、子ども達が主体となって、楽しく学べるよう工夫しました。
従来の国語教材や、日本語教科書とは全く異なる、マルチリンガルの子ども達のための新しい教科書です。出版は2017年冬の予定です。この1年をかけ、世界で行われる日本語教育の学会で、この教科書について発表し、関係者皆様からフィードバックをいただき、更なる内容の充実を目指していく予定です。

つきましては、2017年の出版まで『おひさま』の公式Facebookページを開設いたします。

『おひさま』についてのご紹介、言語学や日本語学の役立つ情報、海外での子育て情報、おすすめの絵本や書籍、ウェブサイトなどを掲載していきます。

複言語環境で子育てをしている方、教育関係の皆様の一助となれれば幸いです。

もしよろしければフォロー、また『LIKE』をお願いいたします。
またこの記事のシェアは大歓迎です。

■『おひさま』公式ページ

https://www.facebook.com/おひさま-1731025060461592/?ref=hl

山本絵美、上野淳子、米良好恵

こ組授業風景(10月11日)世界遺産プレゼンテーション

こんにちわ。
寺子屋こ組(9歳〜11歳クラス)担当のYです。

 

この二ヶ月間、こ組では『世界遺産』について勉強してきました。

さらにこの一ヶ月は、自分で好きな世界遺産を一つ選び、
色々調べていくプロジェクト形式をとっていました。

そして今日は皆の前で発表の日。プレゼンの日。

皆、用意はいいですか?

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皆の発表している模様を
しっかりビデオに収めました。

皆、すばらしかったです!

おつかれさま!

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①グレートバリアリーフ
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② モンサンミッシェル

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③イエローストーン国立公園

 

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④ アントニオ・ガウディ作品群

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や組(小学中学年&高学年)によるムービー制作『鳥獣戯画』

皆様、ご無沙汰しております。

や組講師のYです。

さて、や組(小学中学年クラス)では今年1月より1ヶ月半かけ
小学6年生の教科書の『リライト教材』を利用し、『鳥獣戯画』を勉強しておりました。

皆様、『鳥獣戯画』をご存知ですか?

『甲・乙・丙・丁』と呼ばれる全4巻の絵巻物は、京都右京区の高山寺に伝わる紙本絵巻。

 

全4巻を合わせると44メートルあると言われているこの絵巻物は、特にウサギ、カエル、サルなどが擬人化し描かれた『甲』本が特に人気で、一部の場面には、現在の漫画に用いられている効果に類似した手法が用いられていることから、『鳥獣戯画』は、『日本最古の漫画(アニメーション)』とも言われています。

そんな日本最古のアニメーションを勉強する内に、
私達も私達の手で、『や組の鳥獣戯画レポート』のムービー(動画)を作り上げようではないか!となりました。
ムービーの構成から音楽に至るまで、すべて子供達が担当。
音読風景を取り入れるのも、彼女達のアイディアでした。
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毎週1時間だけ、限られた時間の間で制作したムービーですので、できる事は限られていますが、皆で一生懸命作りました。
何よりも和気藹々とした寺子屋での雰囲気が大いに出ているかと思います。

海外に住むマルチリンガルの子供にとって、日本語を続けていくことは、容易なことではありません。
特に小学中学年になると漢字はより難しく、文章もより難しくなります。
自主学習も必須になります。
小学中学〜高学年になると、日本語を続けようとする気持ちは、そのモチベーションの高さに比例します。

ですが、このクラスは、お互い助け合い、そして何より厚い信頼関係で結ばれている為、きっとこれからも、良い環境の中、日本のお勉強ができることでしょう。

3月22日からは新しい女の子も加わり、や組は小学中学年〜高学年女子4名になります。

私も週に1回、皆と過ごせることがとても楽しみです。

皆、これからもよろしくね。

 

 

某大学教授からの教科書推薦状

現在、海外に住むマルチリンガルの子供用教科書、下巻を制作中の講師陣です。

さてこの教科書ですが、この度、オランダの某大学教授からの推薦を頂きました。

やはりこの道の専門の方にお墨付きを頂けるのは嬉しいことですね。

これに甘んじず、これからも教科書制作に精進していきたいと思っています。

先週の日曜日、ライデン大学で行われた日本語講師勉強会にて、この教科書の筆頭著者であるEMI先生の教科書プレゼンが行われました。

月〜金まで大学で日本語を教え、土曜日は補習校、日曜日は寺子屋で教えているEMI先生。
彼女のバイタリティ、そして、前向きな姿勢にはいつも心打たれるものがあります。

博学多才なEMI先生と一緒にこうやってお仕事させて頂けること、心から幸せに思います。

こちらのプレゼンですが、私も同席させて頂きました。

皆様、素晴らしい経歴をお持ちの方ばかりでしたが、
熱心に耳を傾けてくださり、その後、たくさんのアドバイスも頂き、
有意義な時間を過ごさせて頂きました。

関係者の皆様、EMI先生、本当にありがとうございました。

(※写真:EMI先生)

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講師Y

言語の否定=その人すべての否定

「わたしを本当に傷つけたいと思うなら、

わたしのことばを罵ればいい。

民族的アイデンティティは、

言語的アイデンティティと表裏一体なのだから。

ことばは、わたし自身

自分のことばに誇りを持つことができないかぎり、

自分自身に誇りを持つことなんて、できない。」(Anzaldua, 1990, P.39)

■■■
チカーノ文化やフェミニズムの研究者でもあり、
詩人としても活躍していた、Gloria Anzalduaのことばです。
(”How to Tame a Wild Language” 1990。
インターネット上でも読むことができます。)

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最近、オランダ人の旦那さんをもつ知人が、
「家庭内で子どもたちと日本語を話すな」と
言われたそうです。

話を聞いただけの私も、
胸をえぐられるような思いがしました。

Anzalduaの文章にもあるように、
ことばは、その人自身です。
その人が、その人らしくあるために必要不可欠です。

特に海外在住のマイノリティにとって、
ことばを否定することが、どんなに暴力的で、
相手を傷つける行為なのか、多数派側の
人間には、きっちり理解してほしいと思います。

■■■

「人権としての言語権(Linguistic Human Right)」
という言葉もあります。

国際人権B規約(1966年)においても、
マイノリティが自己の言語を使用する権利
認められています。

外国に移住したら、現地の言語しか話してはいけないのでしょうか。
母語を捨て、自分自身を捨てなければならないのでしょうか。

そんなことは、決してありません。

もちろん、現地の言語を学ぶ努力はしたほうがいいと思いますが、
母語を使う権利は、人間としての権利です。
(詳しくは、Skutnabb-Kangasの著書や論文をご参考ください。)

■■■

海外で生活する、日本語母語話者の皆様、
どうぞ胸をはって、日本語を使ってください。

国語教科書を「簡単」にする方法

こ組&や組担当のEmiです。

海外で日本語を学ぶ子どもたちが、
国語教科書を使う場合、
難しいのは何でしょうか。

■■■

ひとつめは文脈です。
特に物語は、海外の子どもたちには「ぴんとこない」ものも少なくありません。
あるいは、日本国内の子どもたちとは、全く異なる印象を持つこともあります。

例えば「スーホーと白い馬」は、オランダでは、「馬を楽器に使うなんて•••」と
ショックを受けてしまう子どもがたくさんいます。
幼少期から乗馬をする子どもたちが多いこともあり、
馬に対する親近感の違いから生まれる感情かもしれません。

その場合、読むこと自体が、精神的な苦痛になってしまいます。
これは、本来の教育目的とは大きくずれます。

文化による違いが、物語の受け取り方に大きな違いを生むことがあることは、
海外で日本語を教える親御さんも教育者も、知っておくべき点だと思います。

もし読み物を選べる環境にあるなら、その国でも楽しんで読めるもの
日本文化や歴史の勉強になるもの、あるいは子どもの興味にあった説明文がいいでしょう。

■■■

ふたつめは、漢字と語彙です。

特に説明文の場合、日常生活で使うことばとは異なる、
専門用語が増えるので、難易度はぐっとあがります。

ただし、このことと、内容の難易度はべつの問題です。

てらこやに通う子どもたちのように、
頭の回転が速いマルチリンガルの子どもたちは大勢います。

思考力も論理性
も、同世代の子どもたちよりも発達した子どもたちです。

そのような子どもたちにとって、社会や理科の知識を得ながら、日本語も学べる
国語教科書の説明文は、知的好奇心を刺激する、優れた教材です。

それを「日本語力が弱いから、年齢は12歳だけど、小2の説明文を•••」と考えて、
ただ読ませてしまうと、内容自体が幼稚すぎて、飽きてしまいます。
(もちろん、授業の展開の仕方にもよりますが)

国語の教科書の読み物を、
内容はそのままに、
日本語を簡単にする方法
があります。

それが「リライト」です。

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日本国内の外国人児童向けに開発されたリライト教材は、市販でも手に入ります。

http://www.296.jp/books/data_books/t1338862804/index_html

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実際に見ていただくとわかりますが、教科書の読み物が、
文章の内容は変えず、1文を短くし、簡単な語彙を用いて
書きかえられています。

また、読みやすいよう、改行にも工夫があります。

漢字には、すべてふりがながふってあります。

文章全体の長さも、もとの文章よりも短くなっています。

もともとは、日本国内の外国人の子ども向けですが、作品によっては、
海外で日本語を学ぶ子どもたちにも十分使えます

しかし、すべての教科書、すべての作品のリライト教材が
入手可能なわけではありません。

上でご紹介したリライト教材の本にも、光村図書の中の、
代表作品のリライトのみが掲載されています。

「この作品を使いたいのに、リライト教材にはない」
「リライト教材のレベルが、教室の子どもたちには合わない」

そのような場合は、上記の教材の中にも書かれていますが、
ぜひご自身でリライトをしてみてください。

■■■

実際に子どもたちの日本語力を一番理解しているのは、
日本語を教えている親御さん、そして教師です。

リライトは、決して難しい作業ではありません

目の前の子どもたちに、内容をかみくだいて説明するイメージです。

内容は十分わかる、難しいのは語彙と漢字だけなのだとわかると、
子どもたちにも達成感、「学ぶ」よろこびが生まれます。

日本語教師が「Hunter x Hunter」を見てみた。

大人気アニメ「Hunter x Hunter」も、
2014年9月の148話で、最終回となりました。

「『ハンター×ハンター』って、なんか聞いたことあるけど、おもしろいの?」
「子どもに見せても、だいじょうぶ?」
「日本語の勉強になる作品?」

そんな疑問をお持ちの方のために、日本語教師視点
「ハンター×ハンター」についてわかりやすく解説します!

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★★★

まずは、簡単なストーリー説明です。

題名にある「ハンター」とは、物語内の架空の職業です。
「財宝・犯罪者・遺跡・生物など、稀少な事物を追求すること」を生業とします。

主人公の少年ゴンは、叔母と祖母と一緒に、小さな島で暮らしています。
ある時、死んだと聞かされていた父親がハンターとして活躍していることを知り、
自分もハンターになるため、試験を受けることを決意します。

様々な仲間との出会い試練を経て、成長していくゴンの物語です。

★★★

続いて、作者と物語の特徴についてです。

原作者は、冨樫義博です。
「幽遊白書」の作者、「セーラムーン」の作者と結婚した人でもあります。

この人の作品の特徴は、
(1)よく練られた設定(2)魅力的な登場人物、そして(3)理屈っぽさです。

(1)よく練られた設定

物語内の「ハンター」という職業の特殊性にしても、
その他諸々の能力、対峙するの設定にしても、
非常にユニークかつ、綿密に練られています。

この設定が、一度にすべて明らかになるわけではない、
というところがミソです。

登場人物たちと同じ視点で、
見る側も一緒にドキドキしながら、
考えさせられます。

「次、どうなるの?」「え、なんで!?」

と思わせる場面が続々です。

つまり、複雑な設定を理解したい!
と思わせる工夫がちりばめられているのです。

このことで、多少わからない語彙が含まれていても、
文脈でなんとか補い、
理解しようとする意識
が働きます。

この理由から、語彙増強には、
うってつけの作品
だと言えます。

(2)魅力的な登場人物

冨樫作品は、「ちょっと狙い過ぎじゃないの?」
と言いたくなるくらい、
魅力的なキャラクターが多いのも特徴です。

主な登場人物はもちろん、脇役にいたるまで、
個性がきらりと光ります。

高校生くらいの年代までの子どもたちにとって、
心から共感できる架空の人物との出会いは、
様々なプラスの副産物をもたらしてくれます。

大好きなキャラクターが出てくるアニメを見たい、
マンガを読みたい、他のファンとインターネットで交流したい、
などなど。

「好き」という気持ちがあれば、
現地校の宿題が多くても、
習いごとで忙しくても、
日本語に触れる機会を確保できるものです。


(3)理屈っぽさ

主人公のゴンは天真爛漫で単純明快な性格ですが、
戦いに挑む場面では、驚異的な発想力で、
様々な戦術を展開します。

物語を通して、単純な戦いだけでなく、
心理戦が多いのも特徴です。

ことば巧みに、相手を誘導したり、
敵の裏をかいたり、行動を先読みしたり•••

これにも、いつもドキドキさせられます。

また、登場人物の行動ひとつひとつに、理由があり、
敵にもそれなりの事情があることが
ストーリーの流れの中で説明されます。

さらに、心情の流れや、気持ちの変化も丁寧に描かれ、
言語化されています。

「少年マンガなんて、戦っているだけでしょ?」
お思いの方もいらっしゃるかもしれませんが、
そんなことはありません。

ここまで理屈っぽければ、見ているだけで、
嫌でも多様な日本語表現に触れることになります。

★★★

お子さんに見せる際には、注意が必要な作品です。

戦闘シーンも多く出てきますので、暴力的なアニメは
見せたくないという方には、おすすめできません。

しかし、小学校高学年以上の
日本語学習者にぜひ見てもらいたい作品です。

ファンタジー世界が舞台なので、
日常生活に必要でない語彙
多少出てくるという点をさしひいても、
語彙•表現レベルの高さ
多様さ論理的な展開と説明は高く評価できます。

もちろん、日本語母語話者の大人の方にも、
おすすめです。

これで、将来は海洋学者★

今回は、海洋生物についての世界最先端の知識を、
子ども向けに紹介したホームページ
文部科学省が作った無料オンラインゲームをご紹介します。

映像や写真満載ですので、日本語を読むのに抵抗感がある
お子さんでも楽しめます。

★★★

最近、日本では深海ブームなのだそうです。

JAMSTEC (海洋研究開発機構)でも、この機会に将来の海洋学者を育てようと、
様々な講演会を行ったり、絵本を出版したりと様々な活動をなさっています。

ちなみに、絵本は『くじら号のちきゅう大ぼうけん』というタイトルです。
こちらもおすすめです。(リンクはこちら➡★)

★★★

その一環でつくられているホームページ(リンクはこちら➡)、
私も、最近見てみたのですが•••。

これが、おもしろいんです!!
オギャーと生まれた時から文系人間だったと自負している私でも、
大興奮したくなるほどのおもしろさです。

ホームページのフロントは、大きな海の絵で飾られています。
よく見ると、絵の下のほうに、赤い矢印が•••。カーソルをあてると、
なんと、絵がどんどん下に!まるで海に潜っていくようです。

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そう、これ、深海の様子がわかる絵になっているのです。
すてきな遊び心、そして、子どもたちの知的好奇心をくすぐる仕掛けです。

コンテンツも非常に充実しています。
そして、なんといっても、世界最先端の研究成果の賜物です。
こんなビデオも写真も、なかなか他で見られる機会はありません。

海の生物について学びながら、日本語も自然に勉強できる、
海外のマルチリンガルの子どもたちには、
一石二鳥、いや、それ以上の価値があるサイト
です。

★★★

様々なコンテンツの中で、私の一番のおすすめは
「海と地球のかべ新聞」(リンクはこちら➡)です。

「温暖化が海の生き物にあたえる影響」から
「音波調査の技術」「海底温泉での新発見」
などなど、
現地校のレポートやプレゼンテーションのネタにもなりそうな話が、
1ページにわかりやすくまとめられています。
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★★★

そして、もうひとつのおすすめが、
文部科学省がつくった「深海ワンダー」というゲームです。
(リンクはこちら➡
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潜水艦を操作し、生物の姿を写真におさめるという、
シンプルなゲームなのですが•••。

大人がやっても十分楽しめます。

ゲーム慣れしていない私は、
太刀魚しか撮れませんでしたが、
それでもわくわくしてしまうゲームでした。

人工知能のおしゃべりも、おもしろいです。
(時々「皮肉?」と思えるシーンもあって笑えます。)

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未発見の地点までたどりつくと、
自分で深海の生き物を描くイベントが発生するそうです!

深海の生き物らしい、発光した生き物
創作することができます。(私もやってみたいです•••)

また、描いた生物は、深海に放すことができ、
放たれた生物が、ほかのプレーヤーが描いた生物たちと
一緒に泳ぐ姿
も見られます。

ゲーム以外にも「深海ずかん」や「現場インタビュー」
「しんかい6500(潜水艇)のすべて」
など、
コンテンツも充実しています。

このクオリティで無料だなんて、すごすぎます。
さすが文科省です。

★★★

このサイトとゲームを楽しめば、
お子さんも将来、海洋学者になるかも。

日本語で学んで遊ぶコンテンツとしても、
大いにおすすめします。

急にぐんと伸びる日

母語として学ぶ時も、外国語として学ぶ時も、
習い始めというのは、成果が目に見えてわかります。

挨拶が言えるようになった!
ひらがなが書けるようになった!
標識がなんとなく読めるようになった!

などなど。

★★★

しんどいのは、外国語の場合、初級後半から中級
自分の伸びが、自分でよくわからなくなった時

中級から上級上級者への壁の厚さに、立ちすくむ時です。

母語や継承語として日本語を学ぶ場合にも、
小さい時よりも、少し大きくなってからのほうが、
モチベーションの維持が難しくなります。

おうちの人の言うことを、ただ聞く年齢ではなくなるからです。

「こんなにがんばっているのに、どうしてできないの?」
「去年はできていたのに、どうして忘れてしまうの?」

心配になることも、イライラしてしまうこともあるかもしれません。
そんな時は、「焦らない、比べない、でも続けること」
心の中で唱えてみてください。(詳しくはこちら

ゆるく、長く続けることが大切です。

★★★

語学の習得は、右上がりの直線グラフではありません。

何も起きていないかに見える停滞期や、
心配になってしまう減退期もあります。

しかし、続けてさえいれば、長い目で見た場合、
必ず右上がりになっているものなのです。

特にお子さんや若い学習者の場合、ふとしたきっかけで、
ぐんと伸びることがよくあります。

★★★

私の知っているお子さん(11歳)は、今まで日本語にあまり興味がなく、
家庭でお母様と話す以外に、使おうとはしませんでした。
ところが最近、「プリティ•リズム」というアニメのDVDを
友達に借りたことで、一気に日本語力が高まりました。

今まで使っていなかった語彙が使えるようになり、
会話で使う自然な表現も身につきました。

将来、日本に留学したいそうで、日本語の勉強にも力を
入れています。

ほかのお子さんで、漢字の苦手な中学生がいました。
一生懸命、小学校までは補習校に通っていたのですが、
授業を理解することもやっとの状態だったそうです。

その子が、親戚にもらった日本のファッション雑誌
読んだことをきっかけに、一変しました。

雑誌の隅から隅まで、親御さんに漢字の読み方を教えてもらいながら読み、
それからも、日本のファッション誌や、ファッション関係の本をたくさん
読むようになりました。

今では、日本で就職し、立派なキャリアウーマンです。

★★★

ほかにも、友達との出会いがきっかけで、今までほとんど話せなかった子が
たくさんお話してくれるようになったり、日本語でゲームをするうちに、
ぐんと日本語が上達した子もいます。

いつ、どこで、ぐんと急成長するかわからないのが語学ですが、
子どもの場合、それが特に顕著なのです。

アニメ、ファッション雑誌、友達、ゲーム•••

大人にとっては、日常生活のほんの一部でしかありません。

しかし、子どもにとっては、人生において大きな意味をもつことも
あります。それが、いつか、ぐんと伸びるための種になるのです。

★★★

日本語•日本文化に興味がもてそうなことを、ひとつでも見つけて、
ゆるく、長く続けてみてください。

いつか、ぐんと伸びる日が来ますから。

苦手な動詞が得意になる本

こ組&や組担当のEmiです。

以前、てらこやの同僚のY講師に
「こちらに住んでいる子は、名詞よりも動詞が弱いことが多い」
と教えてもらいました。

確かに、てらこやでも補習校でも、
「プールで」まで言えても、「泳ぐ」が出てこなかったり、
「パンを」の後、「焼く」が出てこないことがよくありました。

これはいったい、どうしてなのでしょうか。

★★★

まず、幼児の言語習得の順番として、一番最初に覚える品詞は名詞です。
これは、すべての言語に共通していると言われています。

幼児の使用語彙を比べると、名詞が圧倒的に多く
ついで動詞、形容詞の順番です。

この理由は、名詞のほうが具体的だからです。
名詞は、実際に見たり、触ったりできるものがほとんどです。

これに対して、動詞や形容詞はより抽象的です。

★★★

ここからは、私の個人的な考えです。

モノリンガルのお子さんであれば、小学校低学年のまでの段階で、
動詞と形容詞の語彙がぐんと増えます。

しかし、海外で成長するマルチリンガルのお子さんの場合、
4歳から8歳頃というのは、ちょうど現地語の影響力
とても大きくなる時期でもあります。

今まで覚えていたはずのことばが出てこない、
いつのまにか忘れてしまう•••そんな時期です。

以前、ベルリンの補習校の先生に、
小さな子どもたちには、翻訳ができない。
だから、現地語が一気に入ってきたとき、
日本語を使っていないと、そのまま日本語は
喪失してしまう。」
とうかがったことがあります。
(そのため、ベルリンの補習校では幼児教育にも
力を入れているそうです。)

このような状況に子どもが置かれた場合、
現地語の動詞や形容詞の増に、
日本語がなかなか追いつかないのではないでしょうか。

★★★

言語喪失をふせぎ、ゆっくりでも、確実に日本語力を
伸ばしていくためには、日々使うことが一番大切です。

ただ、日常生活の中では、使用する語彙が限られているのも
事実です。

動詞•形容詞を楽しく増やし、豊かな表現力を身につけるために
おすすめの本『三省堂 ことばつかい方絵じてん』です。

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テーマ別、場面別になっているので、文脈の中
ことばをおぼえられます。

文をつなぐことば、同音異義語、反対語なども
充実しています。

1冊あれば、3歳くらいから、小学生まで楽しめます。
大人が読んでも「へえー」と思える内容で、
心からおすすめします。